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ジェネリック医薬品を考える Ⅰ
近年の日本はあらゆる業界で廉価販売を徳とする風潮が巷に充ち溢れています。 既成の価値観がそのまま引き継がれたものであれば良いのですが…。
このところ、立て続けにマスコミから流れる牛肉の生食問題・原発問題が示すように、安全性・確実性は安売りや過剰経費削減とは決して両立することはありません。
動物医療分野における医薬品においても、健康保険財政の逼迫に直面した政府の医療費削減政策のために、臨床試験や安全性試験など多くの手順を省いたジェネリック医薬品、いわゆる後発医薬品(先発医薬品の特許権が消滅するとゾロゾロ出てくるためゾロ品と呼ばれる事もある)の使用を奨励した経緯からその存在が広く認識され始めました。
新薬(先発医薬品)の承認申請には大変多くの試験の履行と膨大な資料提出が要求されますが、後発品は先発薬品とほぼ同じ成分で作られているという建前から同等の効果と安全性を有するものとみなされ(生物学的同等性)、毒性試験すら免除されています。
しかし、生物学的に期待される効果が同じであるということが臨床的治療効果(実際の動物たちへの治療効果)が同じであるとは言い切れません。ただ否定しきれないという消極的な論拠に基づいているに過ぎないのです。本来なら人用医薬品のみならず動物用医薬品においても後発医薬品普及のためには、まずは政府が我々獣医師にこのことを証明すべきなのですが…。
繰り返しになりますが後発医薬品は決して先発医薬品と同じ製品ということではありません。 医薬品に含まれる物質は主要成分が同じでも特許期間内の他の有効成分は含まれません。製造工程が異なることがあり、また医薬品は含まれる薬剤同士の相互作用で全く違った治療効果をもたらすことが知られています。そしてこのような要素は品質としても現われてきます。 内服固形剤は消化管のなかで有効成分が溶出し吸収されなければなりませんし、外用薬は被毛の存在下であっても皮膚から確実に吸収されなくてはなりません。
私は実際、製剤を使用してその効果に違いがあることをしばしば経験しております。さらに製造工程や賦形剤(添加物)添付の違いは、内服剤の飲ませやすさ、外用剤の塗布のしやすさや浸透性にも影響し、薬剤に味付けがあるものはペットの嗜好によっても治療効果が大きく左右されます。また薬剤には有効血中濃度域が非常に狭く容易に中毒域(思わぬ副作用を引き起こす血中濃度)に達するものもあります。
これらのことを考え合わせると、現時点では先発医薬品は豊富な情報が提供され薬効や供給が安定している点からも後発医薬品より優れていると言えます。少なくとも真摯に動物医療を考える獣医師たちはそう考えています。
皆様が家族同様と考えるペットたちであれば是非御一考ください。動物たちは人間のように不調を訴える事もできませんので…。