ワクチンで予防可能な猫の病気

伝染性が強く治療の困難な猫の伝染病の中にはワクチンで予防可能な病気もあります。
以下の病気はすべて継続的なワクチン接種で発症を防ぐことができます。

猫ウイルス性鼻気管炎

空気感染などによってうつり、ひどいくしゃみ、咳、鼻汁といった呼吸器症状と結膜炎を引き起こします。伝染力が強く、高熱で元気、食欲はなくなり、鼻汁と涙で顔はくしゃくしゃになるなど、いわゆるカゼのような症状を示します。治療が遅れ他のウイルスや細菌との混合感染などにより重症化すると死亡することもあります。

猫カリシウイルス感染症

空気感染などによってうつる病気です。くしゃみ、鼻汁、発熱など猫ウイルス性鼻気管炎によく似た症状と共に、口や舌に水泡や潰瘍が出来ます。他のウイルスや細菌との混合感染で重症化することもあり急性の肺炎を起こし死亡することもあります。

猫汎白血球減少症

高熱、嘔吐、下痢、脱水により衰弱が見られます。白血球が極端に少なくなる病気で、死亡率も高い病気です。弱齢猫ほど症状が重く、急性心不全で死亡することもあります。猫伝染性腸炎、猫パルボウイルス感染症と呼ばれることもあります。

猫白血病ウイルス感染症

グルーミングや咬み合い、食器の共有、けんかによる咬み傷から感染し、発病すると3年以内に80%が死亡するといわれています。感染してから発病までの期間が数ヶ月~数年と長く、発病すると白血病やリンパ腫、貧血、流産などを起こします。免疫機能が侵されるため抵抗力が弱まり、他にも様々な症状を併発します。

猫免疫不全ウイルス感染症

猫同士のけんかや感染した母猫から生まれてくる子猫に感染します。数年間かけて病気はゆっくりと進行していき、この後免疫機能が低下し、難治性の口内炎や鼻炎、下痢などを繰り返し、貧血や悪性腫瘍を起こします。抵抗力の低下から様々な病気にかかりやすくなります。これまでに人への感染の報告はありません。

猫クラミジア症

病原体は目や鼻から進入し、結膜炎、鼻汁、くしゃみ、咳、さらには肺炎を起こすこともあります。ウイルスなどとの混合感染が見られます。

狂犬病

もっとも重要な人獣共通感染症ですが、日本では猫へのワクチン接種は義務付けられておりません。しかし人への感染の危険性を考えると今後検討していかなくてはならない課題であると思われます。

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