大丈夫ですか、お口ケア?


口腔内の問題といえば人間ではまず虫歯が考えられます。しかし犬や猫の場合虫歯にはなりにくいのに歯石が出来やすいという特徴があります。
人間の口腔内が虫歯菌の酸によって酸性になり歯を溶かしやすいのに対し、犬の口腔内はアルカリ性のため、虫歯菌が酸を出しても歯を溶かしやすい酸性の環境にはなりにくいためなのです。
 
虫歯菌の酸が歯の表面を破壊していくのに対し、アルカリ性の口腔内では虫歯菌が増殖し難い代わりに歯垢は容易に歯石へと進行していき、人間の歯垢が歯石になるのに1ヶ月近くかかるのに、犬では3~5日で形作られてしまいます。
 
歯石が形成された口腔内はさらに歯垢が溜まりやすい環境となり、歯垢⇒歯石⇒更なる歯垢…の悪循環を繰り返します。
歯垢や歯石の蓄積、これは虫歯とは違って人間同様歯肉炎や歯周炎といった一連の歯周病へとつながっていきます。
 
歯周病は初期の段階では飼い主様がその進行に気づくことは少なく、なかなか受診されることは少ないのですが、放置すれば進行に伴い口臭や歯痛、歯茎の出血を助長させ、やがてペットたちのQOLは低下していきます。
歯周病が重度になると痛みや不快感のためペットは様々な症状や行動を示すことも多く、歯槽膿漏が強度になると、歯の脱落、ろう管形成、さらには顎骨の融解・骨折に至ることさえあります。
 
特に顎が小さく歯が密集していたり歯並びの良くない小型犬種や、猫ではソマリやアビシニアンといった特定品種は歯石が付着しやすく、歯周病になりやすいです。
 
また歯周病は口腔内だけの問題に留まらず、全身の健康状態をも左右します。痛みや不快感から十分に摂食できなくなると衰弱や免疫機能の低下を起こし、様々な病気を併発しやすくなります。
 
また口腔内の細菌は歯周の病巣から血管へ入り込み、血流に乗って全身に伝播されます。血中に入った細菌は犬や猫に菌血症を起こしたり、腎臓、肝臓、心臓などの臓器に悪影響を及ぼすなど、ペットの生命を脅かすことになります。
 
続く...。
 

カテゴリー: 教えて院長先生! パーマリンク

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です