春の狂犬病予防注射は…?

狂犬病?聞いたことはあるけど、狂犬病に罹った犬なんて見たことなんてないわ。 なのに今どうして予防注射が必要なの…?


 
今の日本で狂犬病に罹った動物を見たことのある人はまずいないはずです。なぜなら日本では昭和32年以来、発症確認がなされていない病気だからです。  しかし狂犬病は犬固有の病気ではなくすべての哺乳動物が病原体を運ぶ性格のものです。しかも発症すると100%死に至るとても恐ろしい伝染病なのです。

 もちろん人間が咬まれて感染しても同様の経過を辿ります。そして世界では今なお毎年何万人もの人々が狂犬病で命を落としている…というのが現状です。
東南アジアからの帰国者が相次いで狂犬病で亡くなられたニュースは皆様方もまだご記憶に新しいのではないでしょうか?そうです、海外では決して珍しい病気ではないのです。

海外出張や旅行での感染だけなら未だしも、ペットの輸入大国日本では狂犬病に感染した動物がいつ国内に入ってきても不思議ではなく、飼われて後、野生化した外国産ペットの急増は散歩中にみなさんの大切なペットが、またそれを介したみなさん自身の感染、発病の危険性を高めていると言っても過言ではありません。

 平成16年、日本政府は輸入動物に対する規制を強化し、このため愛犬を海外に同行・帰国される際の手続きも大変煩雑になりました。政府は水際での狂犬病の侵入阻止にかつて以上に総力を上げて取り組んでいます。それが何を意味するものなのか、もうお分かりかと思います。

 飼い主の皆様は万が一狂犬病が日本を襲った時、愛犬を守るという以上にご自身やご自身にとって大切な方々の命を守るために、狂犬病の予防注射は必要不可欠なのです。
もし皆様の身近に予防注射を回避する方がいらっしゃるならなおさらです。日本の安全神話はこんなところにも破綻をきたしつつあるのですから…。

なぜ狂犬病の予防注射は春なの? うちは去年の冬に受けたばかりなのに!

  残念ながらこれはワクチンの効力とは別に狂犬病予防法という法律で定められています。 飼い主様は生後91日以上の犬については毎年一回、4月1日から6月30日までの間に予防注射を受けさせなければなりません。4月になると各地で集合注射が行われるのもこのためなのです。私たち獣医師もこの時期はとても大変です。
そして 狂犬病の予防注射が法律で義務づけられているのは、上に記したように狂犬病は発症イコール死を意味する治療法のない大変恐ろしい伝染病であり、海外では決して珍しい病気ではないからなのです。
詳しくは狂犬病予防法、同施行規則をご覧頂ければ…と思います。
万一、今年度まだ愛犬たちの予防接種がお済みでない飼い主様がおられましたら、動物病院でいつでも受け付けておりますので、ぜひお問い合わせください。

愛犬と皆様方の豊かなパートナーシップを心から願っております。

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